新しい単純性(あたらしいたんじゅんせい 英:New Simplicity 独:Neue Einfachkeit)とは作曲技法上の反動様式の一つで、現代音楽におけるポストセリエル以後の展開の一つである。
「単純性」といったキーワードで音楽史を見渡すと、古くはルネサンス時代の複雑なポリフォニー音楽の後に現れたモノディー様式による初期バロック音楽、J.S.バッハやラモーなどの複雑に発展した後期バロック音楽の後に来たシュターミッツらのマンハイム楽派などの前古典派の音楽。近代では後期ロマン主義や表現主義の後にやって来た、ヒンデミットやストラヴィンスキーなどの新即物主義や新古典主義の音楽などがある。単純性と複雑性が交互にやってくるのが音楽史の常であり、「新しい単純性」もトータル・セリエリズム、ポスト・セリエルの理解の難解さや極度の複雑さに対する反動の動きであるといえる。
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トニー・コンラッド、ラ・モンテ・ヤング、テリー・ライリー、によってその楽派のきっかけが開始されたミニマル楽派は微分音や特殊な調律を施す為に、当時のヨーロッパではあまり広まらなかったが、近年のヨーロッパは彼らを十分に評価している。
フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒ、ジョン・アダムズの3者は平均律を使用し、規則的なパターン反復で成立している為に、ヨーロッパの音楽シーンにも影響を与えることになる。ジョン・ホワイト、平石博一、近藤譲もこの傾向にはいる。現在両者のミニマリズムは新しい単純性とは見なされていない。
ニューヨークのケージ・グループのジェイムズ・テニーはミニマル音楽とはまったく違った角度から新しい単純性による音楽をタムタム・ソロの為の“Having Never Written a Note”や「クリティカル・バンド」などで創作している。そういう意味ではモートン・フェルドマンのピアノ曲等は新しい単純性への傾向の一つと見てよい。
アメリカ以外の傾向としては、アルヴォ・ペルトなどのバルト海諸国の音楽や、ジョン・タヴナーのイギリス独立派の音楽、吉松隆の新調性的音楽がある。ポーランド楽派のヘンリク・グレツキの交響曲第3番や弦楽オーケストラの為の『古風な様式の作品』の単純な書法は一時的な例外であって、他の多くの作品は「単純性」とは言い切れない。ドイツのヴォルフガング・リームはしばしばその筆頭に挙げられる事が多いが、彼の音楽はミニマル楽派等とは全く別のもので、セリエルを意識しているものの、見かけの書法や作曲技法が古典的であるという意味にしかすぎない。